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質問60 この時期によく聞く「フケ」とはレースでどう影響するのですか? また、どのように見極めたらよいのですか?
答え 「フケ」とはいわゆる発情のことで、牝馬特有のものです。毎年、春になるとやって来るもので、回数は年に3回〜4回ほどです。とにかくやっかいなのが突発的であることですね。よくレース後の厩舎のコメントで「フケが来ていた」というものを見かけますが、水曜にコメントして土曜にフケが来たりするので分かりようもないのです。また、フケの兆候が出ていたとしても、そんな状態でレースを使ったこと自体を非難されるため、事前のコメントではまず出てきません。パドックで見極めるしかないというのが実情です。

陰部が腫れたような状態になると後躯の歩様がギコチなくなり、それで怪しいと判断できます。目で見て腫れていると判断できるようになれば理想的です。あと、簡単に分かるのが、他の馬から離して周回させている場合です。単に落ち着かせる意味合いでのことかも知れませんが、疑ってかかった方がよいでしょう。あと、引いている厩務員に妙に甘えている牝馬がいたら、それもフケが来ている場合が多いですね。

例外もいますが、フケが来た牝馬はレースで好走する可能性が低くなります。現場でパドックを見ていないと分からないという不便はありますが、フケが来ている馬が人気だったりすると、バッサリ切り捨てておいしい思いをすることができたりもしますし、見る目を養っておいて損はないでしょう。

質問61 日本産馬のサンデーブレークがアメリカのダートで頑張っていますが、サンデーの仔は芝もダートも両方こなすとみていいのでしょうか?
答え

まず、訂正を。紛らわしい名前ですが、サンデーブレークはサンデーサイレンス産駒ではなく、フォーティナイナー産駒です。ファレノプシスを姉に持つ良血馬で、日本産馬としてケンタッキーダービーでも良い結果を出してもらいたいものですね。

「サンデーサイレンス産駒はダートもこなすのか?」という点について述べたいと思いますが、これには“ノー”という答えを出さざるを得ません。ご存知の通り、SS産駒は中央でダートを勝った馬がゼロです。芝での勝ち星は100を超えているわけですし、これだけ差が出てしまうと「SS産駒=芝向き」と結論付けるしかありません。

ところで、アメリカ産まれのサンデーサイレンスは、ダートで活躍しました。しかし、根本的な問題で、アメリカのダートというのは“芝のスピード勝負”と考えて良いものなのです。アメリカのダート競馬を見てもらえれば分かりますが、砂が巻き上がるということがありません。それだけ敷かれている砂が浅いわけで、時計を見ても、1800メートルのダートで145秒台など日本のダートではおよそ考えられない数字が出ます。アメリカではスパイク鉄を履いていることもありますが、だからといってこの異常な時計にはなりません。日本のダート競馬とアメリカのダート競馬は質がまったく違うのです。

質問62 最終コーナーを楽な手応えで回って健闘した馬と、早くから追い出しを始めて健闘した馬。次走で狙えるのはどちらですか?
答え レース全体の展開や4コーナーに至るまでの経緯で変わる面があるので、ハッキリどちらが次に狙えるという答えは出せません。抜群の手応えで回ってきたのなら勝たなくてはいけないところですが、それで伸びを欠いたら、追って甘いタイプなのか、距離が長いかのどちらかでしょう。もちろん前半で脚を使っていたら話は別ですし、坂が応えたなど他の原因も考えられます。一方で、早めに手綱を押し始めたケースは、その時点でもうバテ気味なので追うしかなくなったか、回りのペースアップについて行けなくなったかのどちらかの可能性が高いです。それで最後で伸びてきたら根性のあるタイプとみて良いですね。重要なのは実際にレースを目で見て、その馬がどんなタイプかを見極めることです。そして、次走でレースがどんな流れになるかを予測し、その馬がそのレースに合う走りができるのかを読まなくてはなりません。

おそらく、単純に4コーナーで手応えの良かった馬ばかりを次走で狙っていれば馬券はかなり的中するでしょう。ただ、型に嵌まった買い方では所詮限界があるので、馬の“個性”を見る目を養うことをおすすめします。

質問63 競走馬のタテガミのところにあるカラーの丸い球はなんですか?
答え これは単純にオシャレのために着けているものです。最近は馬たちも色々と着飾っており、パドックを見ていて本当に楽しいですね。尻っぱねする馬のシッポに赤いリボンを着けることは有名ですが、最近はそのリボンを赤い丸い球にしている厩舎も見られます。

タテガミというと、ゲートインする時に騎手はタテガミを持っているものです。ベテラン騎手などになるとタテガミを軽く編んで持つ部分を作っていたりするので、パドックを見る時に注意して見てください。メンコやブリンカー、そして盛り塩などだけでなく、気づきにくい細かい部分にも何らかの意味があります。面白いものを見つけたら、質問のメールをください。

質問64 NHKマイルCでは明らかな斜行があったのに、なぜ降着でなく過怠金で済んだのですか?
答え

率直に正解を言うと、「GIだったから」でしょう。勝ったテレグノシスの勝浦騎手は直線で強引に外に持ち出し、他馬の進路を妨害しました。連鎖して最も大きな不利を受けたのが断然人気のタニノギムレットだったのですから、事は小さくありません。レース後は完全に降着だな、と思っていたのですが、結局は降着なしで勝浦騎手に過怠金3万円という裁決が下りました。

GIではラフなプレーが甘く見られるのは事実です。降着制度がなかった20年ほど昔の話になりますが、「GTでは失格なし」という不文律までありました。JRAは降着馬や失格馬が出ることによるイメージダウンを考えているのか、あまり厳しくすると激しい見応えある競馬にならなくなってしまうと考えているのか分かりませんが、今回の勝浦騎手の騎乗を降着にしなかったのは問題があると思います。フェアでない騎乗を認めたようなものなのですから、その姿勢自体がJRAの掲げる「公正な競馬」とかけ離れてしまっているのではないでしょうか。タニノギムレット絡みの何十億もの馬券を買ったファン達に失礼ではないかと感じます。ここで文句を言って何が変わるわけではないのですが、とにかく綺麗なレースを見せてもらいたいものですね。



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