質問105 |
新潟のような直線の長いコースなら良績を挙げられるはずの馬が、なぜ函館や札幌で戦っていたりするのですか? 暑さに弱い等の理由があるのでしょうか? |
答え |
不思議に感じている方も多いと思いますが、実は単純な理由があります。それは「一頭の馬のために厩舎の都合を動かせない」からです。
ダービースタリオンなどをやっていると感覚が麻痺することもあるでしょう。でも、よくよく考えてください。例えば関東の厩舎の場合で、美浦、新潟、札幌は互いに大変な距離です。3場所で出走させれば、それだけの人手が必要で、人が動くのに大きな人件費が必要になります。また、500キロにもなるサラブレッドを馬運車で運ぶのも大変なことです。当然のこと、輸送費がかかってきますね(輸送費は馬主持ちのことが多いですが)。サラブレッドは経済動物で、厩舎は利益追求団体ですから、経費を落とそうとするのは当然です。新潟に出走すれば良い成績を挙げて人件費等を回収できると思われても、それは走る前の段階では願望でしかありません。
他に帯同馬の問題や、厩務員の担当馬などの問題も絡んでくるので、今回は札幌で走って次は新潟などと好き勝手なことはできないのです。
関東の厩舎の場合、自厩舎の美浦にいて新潟を使っていく美浦組、札幌に滞在して札幌を使っていく札幌組と2つに分けるパターンが多いですね。それでも札幌から新潟に使ってきたときなど、勝負気配ありと馬券検討の重要なファクターになるので、厩舎の動きに注意していくと良いかと思います。
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質問106 |
スポーツ新聞や専門紙などの予想家にはどうしたらなれるんですか? |
答え |
ご想像されているかと思いますが、相当に難しいことは確かです。でも、私もそうですし、現実になっている人がいるのですから不可能ということはありません。
まず、スポーツ紙の場合ですが、こちらは基本的に予想家として人を採ることはないですね。記者として入社し、その後に競馬担当になればという話になってしまいます。スポーツ紙のライターになりたい人は山のようにおり、その門は限りなく狭いものです。会社から見れば、どんな部署に入れてもしっかりした文章を書ける人材しか必要ないわけで、政治・経済・社会情勢・芸能とすべてに精通しているかどうかが合格の判断基準になります。入社試験ではそれらすべてに対する知識を試されます。いい大学を出ていれば優れていると言うわけではありませんが、現実には一流大学出の人間ばかりになってしまっています。そして、先にも述べたように、頑張って入社したからと競馬担当になれるかは分かりません。
次に競馬専門紙の場合ですが、こちらも入社するのはなかなか難儀です。中央競馬の売上低下は歯止めがきかず、そのあおりを受けて競馬新聞も売れていない現状です。新しい人材を補充することは稀で、業界全体で一年に数人が入ってくるだけでしょう。私の知る限りでは、新入社員というのはほとんどがコネ入社です。募集をかけているかどうかは各社に聞いてみるのが良いかと思います。
ただ、もし募集をかけていて入社したいと思っても、やはり試験があって激戦の中をくぐり抜けていかなければなりません。私はコネがあって「競馬研究」に入社できたのですが、それでも通常の入社試験を受け、点数が一定の水準に達していなければ採用することはできないと言われました。試験の内容はというと、漢字の読み書きから文章力を試すもの、競馬の知識を試すもの等で、英語の和訳までありました。
いくら競馬に詳しくても、見たもの、そして言いたいことを文章にできなければ新聞を作る際に戦力になりません。これはスポーツ紙、競馬新聞のどちらでも同じことです。
何も夢を壊そうと厳しい話を並べたのではありません。競馬の世界に限らないでしょうが、ある道を進み、また成功するには強い覚悟が必要なのです。
競馬の世界にコネがある人などなかなかいないでしょう。それで募集もなかったら、道は完全に閉ざされたと思うかもしれません。でも、あきらめる必要はないのです。競馬の勉強をして、文章の勉強をして、それで自分がアピールできるものが備わったら、それを新聞社に送りつけたりと進んで動けばいいのです。優駿クラブもあまり募集はかけないのですが、売り込んでくる人間がいれば、話は聞きますし、文章も必ず読みます。なぜかというと、そんな前向きな人の中に素晴らしい人材がいるかも知れないからです。厳しい道のりには違いありません。でも、目標に向かって迷わず進んでください。
もし良かったら、優駿クラブの大谷内宛に文章等のアピールできるものを送ってください。何かお力になれたらと思います。 |
質問107 |
競馬新聞を見ていると、「馬ッ気(うまっけ)」という言葉をよく目にします。どういった意味なのでしょうか? |
答え |
簡単に言ってしまえば、性的興奮状態にあって、モノが勃起していることです。「馬ッ気を出す」と表現され、パドックでそんな状態の馬をよく見かけますね。
そんな性的興奮状態にあることを、男馬の場合は「馬ッ気」、女馬の場合は「フケ」と言います。サラブレッド゙が生き物である以上、致し方ないことであって、パドックで異性が前を歩いていたりすると反応してそういう状態になってしまうのです。
問題はレースで影響が出るかですが、男馬はパドックで興奮していてもレースの時には落ち着いて普通に力を出してくることが多いですね。一方で牝馬のフケは少し深刻です。主に春にかかるもので、例えば1週間ほどフケの状態になって、その後で落ち着き、また1週間後にフケが来るといった具合に期間が長く、また、周期的におちいるものだからです。運悪くレースの日にぶつかったりすると、いい結果を出すことはあまりありません。
やっかいなのはフケを確認するのが難しいことです。パドックで性器を見て、腫れぼったくなっていたり、濡れている状態になっていたりしたら分かるのですが、これはひどい状態にあるときの症状です。常にパドックの柵に張りついていられる人も少ないでしょう。結局、競馬新聞などに載っている関係者のコメントから判断するしか手がない状況です。
基本的には予想のファクターに入れることはないものと考えてください。現実にはレースで影響があることを知っていて、また、知識として知っていれば良いかと思います。
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質問108 |
「手前を替える」という言葉をよく耳にしますが、競走馬はなぜ走りながら手前を替えるのですか? また、この行為は馬が主体的に行っているのでしょうか、それともジョッキーの指示によって行われているものなのでしょうか? |
答え |
競走馬がスピードを出して走るとき、地面に接地している脚は常に1本です。ふた通りの脚の置き方があり、前脚の捌きを見て、まず左脚を大きく前に出して、次に右脚を掻き込む感じで地面に置く場合を「右手前」、逆に右脚を大きく前に出して、次に左脚を置く場合を「左手前」と呼んでいます。
手前を替える理由は、スムーズにコーナーリングするためと、疲れを減らすためです。コーナーリングに関しては、右回りのコーナーを回るときは右手前で走るのが基本で、左回りのコーナーを回るときは左手前で走るのが基本です。逆手前で走ってしまうと外にふくれて、うまく回ることができません。例えば右回りコースの場合、直線部分を左手前で走って、コーナー部分を右手前で走ることになります。
また、疲れを減らすというのは、同じ手前で走っていると同じ箇所の筋肉を使ってその部分が疲れてしまうため、走り方を変えて疲労の集中を避けようというものです。人間がバックを肩から提げるときに、右肩に掛けたり、左肩に掛けたりと変化をさせるのと同じというと分かりやすいでしょうか。
手前を替える行為は基本的に馬が主体的に行っています。スムーズに手前を替えられない馬に対して調教で強制させる場合もありますが、完全に直ることはないようです。
よく、レース後のコメントに「今日はずっと右手前で走っていた」などというものを見ますが、こんなケースでは力を出し切っていない可能性が高いと考えられます。もちろん次にきちんと手前を替える保証はないのですが、人気を落としていたりしたら狙ってみるとおもしろいと思います。
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質問109 |
注目の洋画「シービスケット」の中で、馬券につながるヒントがあったら教えてください。 |
答え |
非常に勉強になる映画だと思います。サラブレッド゙の本質がしっかりと描かれています。
デビュー当初は地方の草競馬でも満足に結果を出せなかったシービスケットですが、手がける調教師が替わると、成績も変化していきます。ついには大レースを制すまでになり、レコードを連発して、歴史に残る名馬になったシービスケット。映画の中では、そこに至るまでの調教師や馬主ジョッキーの苦労が事細かく描写され、普通に競馬を見ているだけではわからない、サラブレッドの繊細さを理解することができます。
映画もそうなのですが、まず本の「シービスケット」を読まれてはいかがでしょうか? お近くの書店に並んでいると思いますし、映画ではおそらくは時間の問題で伝え切れなかったことが、より深くまで書かれています。
感動的な話です。作り話としても出来が良すぎで、とても実話とは思えません。映画を見るか、本を読むかをすれば、競馬というものがサラブレッドという生き物が走って成り立っていることがわかり、ほとんどすべての方は“予想の立て方”自体が大きく変わるのではと思います。おすすめです。 |