Q:最も強い馬は?という質問で昔の馬を挙げる人がいますが、時計を見ると最近の馬のほうが強いよ
うに感じます。昔は芝がやわらかいから時計が出なかったとか聞きますが、それを踏まえてどの馬
が強いですか?
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A:今の馬が強いか?それとも昔の馬が強いのか?これは回答の出ない永遠のテーマかもしれません
ね。何しろ実際に戦わせることができないのですから。質問の中に今の競馬のほうが時計が速いと
ありましたが、確かに昔のほうが、芝がやわらかく時計が出にくかったのは事実です。また、昔は中
央競馬がレベル的に公営競馬の二軍だったことも原因のひとつでしょう。実際にレベルが低下してし
まった南関東公営に目を向けると、10年以上も前のレコードがいまだに破られずに残っています。
それでは最強馬はどの馬か?ダートに関して言えば、今のどの馬もハイセイコーにはかなわないで
しょう。ダービーの時点での強さを競わせたらナリタブライアンが最強馬だと思います。しかし、正直
なところ他の条件での最強馬は難しくて挙げられません。明確な答えが出るものでない以上、個々
人の心の中で最強馬を持っていればいいのではないでしょうか。そんなロマンこそ競馬の魅力なの
ですから。 |
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Q:大谷内さんは以前「競馬研究」で仕事をなさっていたということですが、トラックマンや編集の方は何
時に起きて何時に寝ているのですか? |
A:競馬ファンにとって競馬新聞の記者がどんな時間に仕事をしているのか気になるところだと思いま
す。ご存知のように、馬の調教は日が昇ったばかりの非常に早い時間に行われます。その時間は
季節によって変動し、早くて4時半、遅くて8時と幅が大きいものになっています。トラックマンはそれ
に合わせて起きるわけですから、早いときには4時前後の時間になるのです。一方、編集の仕事は
トラックマンが取材したものを書き起こしたりというものですので、起床する時間は遅めになります。
それでも7時ぐらいと遅くはありませんが・・・。これを読んでいる方の中には競馬新聞社に勤めたい
方もおられるでしょう。詳しい仕事内容についてはまたの機会にお話したいと思います。 |
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Q:関東にいる3歳馬のカーディアンゴッドという馬は本賞金が810万円です。本賞金が加算されるのは
1着と重賞2着以内と頭にいるのですが、どうしたらこんな中途半端な賞金になるのですか? |
A:おっしゃるとおり、本賞金が加算されるのは1着馬と重賞2着以内の馬に対してです。平地競走でいう
と、500万条件以下の全レースと、900万条件の平場戦が400万の加算で、それ以外の競走は実際
の賞金の半分が本賞金として加算されることになります。ただし、それはあくまで中央競馬でのこと
です。カーディアンゴッドは道営競馬からの転入馬で、地方在籍時の賞金が加えられており、それ
で810万という半端な本賞金になってしまったのです。公営競馬から中央競馬に移籍する際は、定
まった計算式で本賞金が決められます。その式は申し訳ありませんが分かりません。以上の理由
で半端な賞金の馬が存在することをご理解いただけたらと思います。 |
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Q:競馬はギャンブルの中で勝てるギャンブルですか?パチンコや競艇やtotoと比べるとどうですか?
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A:面白くもあり、また難しい質問をいただきました。私自身は、昔パチンコを少したしなんだ程度で、
競輪や競艇、totoといった他のギャンブルにはほとんど手を出しません。その理由は「競馬が一番
勝てる」からです。ただし、それは私にとってそうであるだけで、現実に競馬が最も勝てるギャンブル
かとなるとそうではないでしょう。不確定要素の多さから言って、むしろ最も勝つことの難しいギャン
ブルかもしれません。私が競馬で勝てるのは「競馬が好き」だからです。競馬を始めてしばらくはあ
まり馬券が当たりませんでしたが、多くの時間を費やして意欲的に研究を積み、その結果として徐
々に的中率が上がり、そして確実に勝てるようになりました。競馬が好きだからこそ好んで研究をし
たのであって、もし競艇をやって楽しいと思わなかったら研究することはただの苦痛だと思います。
どんなギャンブルにも「勝てる人」「勝てない人」がいます。そして、そこには「勝てる理由」「勝てない
理由」が存在します。どのギャンブルの場合も結局はすべてを深く掘り下げて分析し、研究した人間
が勝つのです。ここでひとつ「勝ち組」になるためのポイントを挙げましょう。私も常々自分に言い聞
かせていることですが、「決して自分が正しいとは思わないこと」です。 |
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Q:競馬のオッズはどんな計算で決められるのですか?また初めのオッズは誰が決めているのでしょう
か? |
A:オッズに関しては、かなり多くの質問をいただいています。まずオッズの計算方法ですが、複雑な式
があってここでは説明しきれません。一般に言われる「控除率25%」というのは正確な表現ではな
く、平均して約25%というのが正解です。18%〜26.2%の間で推移しますが、実は的中数が多いとき
(配当が低いとき)ほど控除率が低くなり、的中数が少ないとき(配当が高いとき)ほど控除率が高く
なります。また、二つめのご質問ですが、オッズは客の買った馬券から計算されるもので、誰かが
意思を持って決めることはありません。たとえば、1番目に馬券を買った人が最終的に万馬券となる
目を1票買ったとしたら、その時点でその目が1番人気となり、オッズ表示も100円となります。余談で
すが、もし誰も購入していない目で決まったら、馬券を買った人全員に70%の特別払戻が行われる
ことになっています。
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Q:クラス編成のことがあまりよく解りません。どのようなクラスがあるのでしょうか? |
A:中央競馬は分類が大きく、クラスが少なくなっています。下級条件から、新馬(未出走)、未勝利、
500万下、1000万下、1600万下、オープンとわずかこれだけ。南関東公営がA1からC3まで分か
れ、その中で更に1組、2組、3組…、と細分化されていることを考えると、非常に対照的ですね。
2歳の初めは勝ち星を挙げるとすぐオープン馬になり、途中のクラスがありません。2歳の秋から
500万下ができ、3歳の夏口から1000万下ができ、3歳夏に4歳以上の古馬と一緒に戦うようになっ
て1600万下に出られるようになります。また、4歳の夏になるとクラスの再編成が行われます。例え
ば1200万の本賞金を持っている馬がいたとしますが、これまでは1600万下のクラスだったものが
1000万下のクラスに入ります。競馬新聞のレース条件の欄を見ていただくと解りますが、1000万下
の条件は「3歳1000万、4歳以上2000万下」となっており、今まで名前の通り本賞金1000万以内の
馬が1000万下だったものが、4歳の夏になると1000万を超えて2000万までの馬が1000万下のレー
スに出られることになるわけです。今現在は年が明けているので、条件は「4歳1000万、5歳以上
2000万下」となっています。文章を読んでも理解するのは難しいと思います。本賞金とクラスに注意
しながら競馬を見ていけば、解るようになっていくでしょう。ダービースタリオンをプレーするとスムー
ズに理解が進むと思いますが。 |
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Q::以前は競馬関係の本によく書かれていましたが、今もヤリ、ヤラズはあるのでしょうか? 私はあっ
て当然だと思うのですが…。プロが印を打つ場合にどのように反映させるのかもあわせて教えてくだ
さい。 |
A:どこまで突っ込んで書いていいのか分かりませんが、ヤリ、ヤラズは確かにあります。最も一般的
なのは、あるレースでわざと凡走し(ヤラズ)、人気を落としておいて次のレースで好走する(ヤリ)パ
ターンです。仕掛けるのは厩舎と騎手であり、目的は馬券で儲けるためです。もちろん競馬法違反
なのですが、現実には調教師でも騎手でも隠れて馬券を買おうとすればできてしまうのです。
ただ、今の中央競馬では難しいのも事実です。グリーンチャンネルの放映等々、これだけメディア
が発達してしまうと、ヤラズの段階で必ず不信感を持たれてしまいます。もちろん発覚すればただで
は済みません。ヤラズに関しては、いつ仕掛けてくるかは分かりませんし、予想する際にあまり考え
ない方が良いかと思います。
プロが考えるのは、ヤリの時です。あるレースで競走中に怪しげな動きがあって、次のレースで攻
めを目一杯にやったり、騎手を変えてきたりした。そんな馬に対しては、予想段階で印を上げること
があります。
ヤリ、ヤラズはもちろん好ましいことではありません。といって完全に防ぐのも無理なのでしょう。
公正な競馬を望みたいものですが…。 |
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Q::レースを見ていて、勝負は時の運が多分にあると思うのですが、プロの方はそうは思わないのです
か? |
A:競馬はスポーツではなく、金を賭ける対象、すなわち「ギャンブル」です。「時の運」があってこそギャ
ンブルとして成立しますし、不確定要素の多さこそが競馬がギャンブルの中でも王様たる所以なの
ではないかと私は考えています。
スタートで半馬身出遅れただけで結果は変わりますし、たとえ自分が買っていない馬でも、逃げる
はずだった馬が出遅れれば競馬の流れ自体が違うものになってしまいます。道中で躓いた、前が
塞がれた、バテた馬が下がってきた、4コーナーでふくれた、直線で前に入られた、究極的には落馬
した、降着になった等々、レース前に予測が不可能なことはいくらでもあります。
そんなことも競馬を構成する一部なのですから、私を含めたプロの馬券師は、その「時の運」を重
く考えています。そこから導き出される馬券の買い方は、配当が許す範囲内でできるだけ多くの保
険を掛ける多点買いです。皆さんは「プロの馬券師は少ない買い目でビシッと勝負する」と思ってい
るでしょうが、現実は逆で儲ける人ほど買い目は多いものなのです。
不確定要素を甘く見ているということは、「競馬を甘くみている」ということです。プロの馬券師は競
馬の怖さを知っており、だからこそ「時の運」とうまく付き合いながら競馬で儲けることに成功している
のです。 |
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Q::競馬専門紙の会社を作るにはどうしたらよいのでしょうか? |
A:なかなか面白い質問をいただきました。専門紙の立ち上げ方について、さすがに詳しいことは分かり
ませんが、難しいことだけは確かでしょう。新聞作成の人員確保、印刷機の導入、コンピューターシ
ステムの構築、現実に新聞を形にするだけでも億の金はかかります。ドデカイ印刷機など置くため
の場所を確保するだけでも大変ですし、外注に任せるにしても費用は膨大になると思います。また、
初めは何らかの宣伝活動が必要になりますが、広告代理店との付き合いがないと広告料もすべて
前金になってしまいます。ものすごくお金が潤沢な方なら問題ないですが、やはり銀行からの融資
は必要でしょう。ただ、銀行も一般の人にはお金を貸してくれません。
それに加えて、配送の整備、取次との契約、競馬新聞協会への加入など、相当な人脈がないと不
可能なことが多くあります。長く競馬の世界で生きてきて、顔が広く、また信頼のある人間でないと
難しいのが現実です。
私も若い頃は自分で競馬新聞を発行したいと夢を描いていましたが、現実に専門紙に在籍してみ
て、とても無理だと思いました。ただ、もちろん今ある専門紙も何もないところから作られたもので
す。最近はインターネットなど紙媒体以外の発達が進んでいますし、違う形の競馬新聞を作り上げ
ていくのも可能なのかも知れません。適切なアドバイスはできませんでしたが、何か参考になれば
と思います。 |
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Q::美浦や栗東のトレセンに入って調教タイムを図ったりするにはどうしたらよいのですか?ウワサでは
トラックマンの人たちなどの紹介状があればいいということなんですけど…。 |
A:一言で表せば、美浦、栗東の両トレーニングセンターは閉ざされた要塞のようなものです。立ち入る
ことができぬよう周囲は頑強に固められ、出入口にはよく駐車場で見られる車を塞ぐバーのお化け
のようなものが威圧感十分に待ち構えています。
入る許可をもらうといっても容易なことではありません。ご存知のように一般ファン等の部外者は
完全に立ち入り禁止。ご質問にトラックマンの紹介状があればいいのではとありましたが、それも実
際は不可能です。
トレセンに入るには「取材のため」という名目が必要です。競馬専門紙やスポーツ新聞社でも「取
材票」という入国手形は各会社に限られた数しか交付されません。それ以外の人となると、雑誌や
テレビの取材でという形になりますが、それも、いつ掲載されるのか、いつ放映されるのかという細か
いところまで申告しないとならないのです。何の夢もない回答になってしまいますが、トレセンに入る
のは無理だと思っていた方が良いでしょう。強力なコネでもあれば可能なのかも知れませんが…。 |
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Q::POG(ペーパーオーナーゲーム)をしているのですが、なかなかデビューしない馬が多いです。
デビューできない理由は何ですか? |
A:以前にもこの一問一答のコーナーで書いたのですが、POGはファンが競馬の現実を間違って捉え
る好ましくない遊びだと思っています。デビューしないことを不思議に感じている方が多いようです
が、実際は競馬に出走できるまでに仕上げるのが本当に大変で、順調にレースを使っていける馬な
ど稀にしかいません。体重が500キロもあるのに、あのか細い脚です。少し弱いところがあると軽く走
らせただけで脚が腫れてしまいますし、15−15程度の調教もできずにデビューというスタート地点ま
で到達せずに終わってしまう馬が多いのです。レースでの脚元に掛かる負担はその比ではありませ
ん。アグネスタキオンやクロフネなど、歴史に残る名馬が次々と引退していくのも、ある意味、当然な
のです。
生産者の立場から見ても、苦労に関して同じことが言えます。一頭の仔馬が競走馬になる陰に
は、生産者たちの並々ならぬ努力があります。繁殖牝馬を育て、種牡馬を選んで種付けをするわけ
ですが、生まれてみて脚が曲がっていたら大変なお金を投資して生まれたその仔馬は価値がゼロ
になってしまいます。牧場にいる時に脚をぶつけたら、もう競走馬になれないかも知れません。
また、まったく競走能力とは別のところで、お腹などに傷を負っただけでもセリでの売値は大きく下
がってしまいます。
生産者や調教師、そして馬主もそうですが、現実に競馬に携わっている人たちは自分たちの生活
を賭けて戦っています。それだけは分かっていただけたらと思います。 |
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Q::「シンコウ」の冠で有名な黒の勝負服を最近見ないのですが、馬主さんは辞めてしまったので
しょうか? |
A:ある馬主が瞬間的に活躍馬を多く出して、いつの間にかいなくなるのはよくあることです。皆さんは「
馬主」というものは金持ちしかなれないといった認識があるでしょうが、実はケタ違いの金持ちでない
と馬主になることはできないのです。現在の詳しい数字は調べていませんが、年収3,000万以上と
か、資産2億以上とか信じられないような厳しい条件がありますし、あり余るお金を持っていたとして
も、社会的な地位が確実な者でないと馬主資格は与えてもらえません。また、競走馬を持つには莫
大なお金がかかります。500万円で馬を購入したとして、月50万×12の年間600万円のカイバ代を足
すと、競走馬を1頭持つだけで年間1,000万は費用がかかる計算になります。もし、愛馬が走ってく
れなかったら、回収はほとんどゼロになってしまいますね。
そんな馬主の世界ですから、何か事業をやっている人しかなれないのが現実です。事業が傾けば
馬主を続けていくことはできません。ご質問にあった「シンコウ」は、ご存知の方も多いと思います
が、「新興産業」が馬主でした。小林亜星氏が出演していた「ぱっとさいでりあ」のCMで有名です
ね。しかし、何年か前に会社が倒産し、馬を手放さざるを得なくなりました(現在は立て直しているよ
うですが、他の企業の手が入っているのでしょう)。こんなことは競馬の世界ではよくあることなので
す。困ったのは日本では馬主が冷遇されていることですね。JRAの規模からすると賞金があまりに
低すぎで、プラス収支になっている馬主はほとんどいないのが現状です。ですから、莫大な経費が
かかる競走馬を所有することによって本来の事業を圧迫することが多いのです。馬主で有名な和田
アキ子さんも、稼いだお金をみんな馬に持っていかれてしまうそうですよ。馬主を続けていくのは本
当に大変なことなのです。
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Q::観客が盛り上がるのはいいことだと思いますが、ファンファーレに合わせた手拍子はどうかと思いま
す。驚いてイレ込む馬もいますし、それで自分が買った馬が凡走したら悔しいです。もっと大きな事
故になったりはしないのでしょうか? |
A:私もまったく同じ気持ちです。主催者であるJRAはレース前に騒がないようにと注意をうながしてい
ますが、ファン(一部の)はどうやら聞く耳を持っていないようです。この件に関して、もっと厳しく規制
すべきだとJRA批判をする人もいます。しかし、10万人とか15万人とかの人間を統制するのは難し
いでしょうし、変に規制を作っても競馬場は気軽に行ける場所というイメージを壊しかねません。
結局のところ、ファン各人のモラルと自覚に任せるしかないのでしょう。ご存知のように、サラブレッ
ドは極度に繊細です。競走に影響を与える以前に、大勢の人間の目にさらされ、大きい騒音を聞か
されることがかわいそうでなりません。この場で訴えても状況が変わることはないのですが…。
まだ学生の時分に、東京競馬場のゴール板前で観戦していて、「将棋倒し」が起こりそうになった
ことがあります。後ろから悲鳴が聞こえて、非常に怖い思いをしました。過度の手拍子、声援は馬に
影響を与えるだけでなく、人間自身も危険にさらすことになります。しっかりとマナーを守り、素晴ら
しい競馬が行われる手助けをしたいものですね。 |
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Q::日本の国際競走は海外からどんな目で見られているのでしょうか? ジャパンCやジャパンCダート
以外、ほとんどの国際競走に参戦がないので…。 |
A:まず、海外に行くこと自体がサラブレッドにとって大きな負担になることはお分かりいただけると思い
ます。例えば栗東に所属する馬でも、輸送の短い京都競馬場でなら良い成績を出せるのに、少し輸
送が長くなる阪神競馬場では走れないといった馬が多くいます。狭く暗いところに閉じ込められて揺
られ続ける輸送はサラブレッドには想像以上の負担を与えるもので、それが海外への20時間を超え
る空輸となると、その負担は想像を絶するものとなります。20キロから30キロの馬体減りは当たり前
で、過去のジャパンC出走馬でも疲れが抜けずに力を出し切れなかった馬が多いのです。
そんな危険を承知の上で海外に遠征するには、何かの見返りがなければなりません。名誉でも良
いですし、賞金が目当ての場合があれば、チャレンジスピリットで遠征を考えることもあるでしょう。
名誉に関しては、日本が世界的に認められているGT競走は「ジャパンC」と、「ジャパンCダート」し
かありません。「エリザベス女王杯」や「マイルチャンピオンS」も実は国際競走なのですが、このタイ
トルが欲しいからと海外からやってくる馬はいないというのが実情でしょう。また、賞金に関しても、い
くら日本の競馬の賞金が高いとはいえ、あくまで良い結果を出せばの話です。そもそも、空輸自体
に200万あまりのお金がかかり、賞金を得ることが出来なければ、大きな赤字が出ることになってし
まいます。それならば危険を冒してまで海外に遠征することをせず、国内でより安全な賞金獲得を
狙った方が良いという結論に達するのは自然なことと思います。
現状で「ジャパンC」、「ジャパンCダート」以外の日本の国際競走は外国の馬主、調教師から見て
魅力のあるステージではないのでしょう。海外の力のある馬たちが活発にやって来る状況は考えづ
らいというのが正直なところです。 |
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Q::日本の競馬は海外に比べてGIが少ないと思います。GIが増えれば競馬人気も上がると思うのです
が、どうでしょうか? |
A:現在の中央競馬のレース体系を見ると、年齢別(2歳、3歳、古馬)、距離別(短距離、マイル、中距
離、長距離)に頂点となるGIがあり、牡馬限定、牝馬限定の区分けきちんとされ、また、春と秋のGI
の置き方にもシッカリした意思が感じられます。私は小さなマイナーチェンジはあっても、大きな改
革はすべきでないと考えます。
ご質問にはGIが増えれば競馬人気が上がるのではとありましたが、実際はその逆で、GIを増やせ
ば競馬人気は間違いなく落ちるでしょう。GTの数を多くしてもレベルの高い馬が増えるわけではあ
りませんから、必然的に強い馬が分散することになります。そうなると、レベルの低い価値のないGI
が必然的に生まれてしまい、“GI”そのものの格が落ちてしまいます。今は“GIレース”というだけで
興奮するものですが、そんな情熱が薄まりことになりかねません。
また、長い目で見て、サラブレッドのレベルアップを阻害することにもなるでしょう。他の世界で、プ
ロ野球やJリーグなどはチーム数が多すぎると言われています。野球やサッカーなどは、ハイレベ
ルの試合をして選手たちのレベルが上がっていくものですから、チーム数の少ないところにいい選
手が集中して、質の高い試合をした方がいいのは道理です。それは競馬の世界でも同じで、強い馬
が集まって厳しいペースや厳しいプレッシャーの中でレースをした方が、馬は強くなっていくものな
のです。
競馬人気の低迷が言われて久しいですが、私自身はそんなに悪い状況ではないと考えていま
す。株にしても、土地の値段にしてもそうですが、バブルの時代が異常だっただけで、そこから売上
が落ちるのは当然のことです。今は趣味も多様化してきましたし、非常に景気の悪い中で中央競馬
の売上は健闘している方ではないでしょうか。とはいえ、私も競馬人気アップを望む“競馬ファン”の
一人です。オグリキャップがいた時代の熱狂が忘れられませんし、そんな時代が再びやってくること
を期待します。 |
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Q::スポーツ新聞や専門紙などの予想家にはどうしたらなれるんですか? |
A:ご想像されているかと思いますが、相当に難しいことは確かです。でも、私もそうですし、現実になって
いる人がいるのですから不可能ということはありません。
まず、スポーツ紙の場合ですが、こちらは基本的に予想家として人を採ることはないですね。記者と
して入社し、その後に競馬担当になればという話になってしまいます。スポーツ紙のライターになりた
い人は山のようにおり、その門は限りなく狭いものです。会社から見れば、どんな部署に入れてもしっ
かりした文章を書ける人材しか必要ないわけで、政治・経済・社会情勢・芸能とすべてに精通している
かどうかが合格の判断基準になります。入社試験ではそれらすべてに対する知識を試されます。い
い大学を出ていれば優れていると言うわけではありませんが、現実には一流大学出の人間ばかりに
なってしまっています。そして、先にも述べたように、頑張って入社したからと競馬担当になれるかは
分かりません。
次に競馬専門紙の場合ですが、こちらも入社するのはなかなか難儀です。中央競馬の売上低下
は歯止めがきかず、そのあおりを受けて競馬新聞も売れていない現状です。新しい人材を補充する
ことは稀で、業界全体で一年に数人が入ってくるだけでしょう。私の知る限りでは、新入社員というの
はほとんどがコネ入社です。募集をかけているかどうかは各社に聞いてみるのが良いかと思います。
ただ、もし募集をかけていて入社したいと思っても、やはり試験があって激戦の中をくぐり抜けてい
かなければなりません。私はコネがあって「競馬研究」に入社できたのですが、それでも通常の入社試
験を受け、点数が一定の水準に達していなければ採用することはできないと言われました。試験の内
容はというと、漢字の読み書きから文章力を試すもの、競馬の知識を試すもの等で、英語の和訳まで
ありました。
いくら競馬に詳しくても、見たもの、そして言いたいことを文章にできなければ新聞を作る際に戦力
になりません。これはスポーツ紙、競馬新聞のどちらでも同じことです。
何も夢を壊そうと厳しい話を並べたのではありません。競馬の世界に限らないでしょうが、ある道を
進み、また成功するには強い覚悟が必要なのです。
競馬の世界にコネがある人などなかなかいないでしょう。それで募集もなかったら、道は完全に閉
ざされたと思うかもしれません。でも、あきらめる必要はないのです。競馬の勉強をして、文章の勉強
をして、それで自分がアピールできるものが備わったら、それを新聞社に送りつけたりと進んで動け
ばいいのです。優駿クラブもあまり募集はかけないのですが、売り込んでくる人間がいれば、話は聞き
ますし、文章も必ず読みます。なぜかというと、そんな前向きな人の中に素晴らしい人材がいるかも知
れないからです。厳しい道のりには違いありません。でも、目標に向かって迷わず進んでください。 |
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Q::注目の洋画「シービスケット」の中で、馬券につながるヒントがあったら教えてください。 |
A:非常に勉強になる映画だと思います。サラブレッド゙の本質がしっかりと描かれています。
デビュー当初は地方の草競馬でも満足に結果を出せなかったシービスケットですが、手がける調
教師が替わると、成績も変化していきます。ついには大レースを制すまでになり、レコードを連発し
て、歴史に残る名馬になったシービスケット。映画の中では、そこに至るまでの調教師や馬主ジョッキ
ーの苦労が事細かく描写され、普通に競馬を見ているだけではわからない、サラブレッドの繊細さを
理解することができます。
映画もそうなのですが、まず本の「シービスケット」を読まれてはいかがでしょうか? お近くの書店
に並んでいると思いますし、映画ではおそらくは時間の問題で伝え切れなかったことが、より深くまで
書かれています。
感動的な話です。作り話としても出来が良すぎで、とても実話とは思えません。映画を見るか、本を
読むかをすれば、競馬というものがサラブレッドという生き物が走って成り立っていることがわか
り、ほとんどすべての方は“予想の立て方”自体が大きく変わるのではと思います。おすすめです。 |
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